研究成果

イネ品種「ミルキークイーン」の低アミロース性に関する遺伝子分析


 稲研究部 稲育種研究室 佐 藤 宏 之

 お米のでん粉の成分であるアミロースの量(アミロース含量)は、炊飯米の食味の良否に影響を与えます。アミロース含量が低いと粘りの強いおいしいお米になるので、「彩(あや)」、「スノーパール」及び「ミルキークイーン」等のアミロース含量が低い品種(低アミロース性品種)が数多く育成されています。しかし、それらの品種の低アミロース性遺伝子に関する研究はあまり行われていないのが現状です。本研究では,コシヒカリの突然変異によって当研究室が育成した品種ミルキークイーンについて、低アミロース性に関与する遺伝子を特定することを目的としました。
 まず、ミルキークイーンとコシヒカリを交雑してF2集団を作り、この集団において玄米のアミロース含量の分離を調査しました。この集団のアミロース含量は、12%を境にしてコシヒカリ型の高いアミロース含量を示す個体とミルキークイーン型の低いアミロース含量を示す個体が約3:1に分離しました(図1)。この結果より、ミルキークイーンの低アミロース性は、一つの劣性遺伝子に支配されていることがわかりました。

図1 ミルキークイーンとコシヒカリの交雑由来F2集団におけるアミロース含量の分離

 次に、ミルキークイーンの持つ遺伝子と、アミロース合成に関与するモチ遺伝子座(wx)との関係を明らかにするために、コシヒカリのモチ性突然変異体「コシヒカリwx」とミルキークイーンを交雑し、得られたF2集団において玄米のアミロース含量の分離を調査しました。この集団を構成する全200個体のアミロース含量は、両親のアミロース含量の範囲内に分布し、コシヒカリ型の高いアミロース含量を示す個体は観察されませんでした。さらにこの集団内では、モチ性個体と低アミロース性個体が1:3に分離しました(図2)。

図2 ミルキークイーンとコシヒカリwxの交雑由来f2集団におけるアミロース含量の分離

 以上の結果より、ミルキークイーンの低アミロース性遺伝子はwx座の対立遺伝子であることが示されました。筆者は、今回新たに同定した遺伝子を既知のモチ遺伝子(wx)と区別して、wx-1 と仮称することにしました。さらに、wx-1遺伝子のdna塩基配列を決定したところ、この遺伝子の塩基配列は、コシヒカリの遺伝子の塩基配列とは一部異なっていることが分かりました(データ未発表)。現在、wx-1 の塩基配列情報に基づいた「ミルキークイーン」のdna鑑定技術を開発し、特許出願中です。


作物研究所ホームページより抜粋

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